東京で税理士をしている野中敏博と言います。元々はシステムエンジニアだった知識・経験と、開業後に始めたマーケティングを活用して、毎日経営者の方々と一緒になってこの不況を乗り切ろうと頑張っています。
今回からは、生産性を高めながら労働時間の縮減等に取り組む企業を支援する「働き方改革推進支援助成金」をご紹介いたします。
この助成金には多数のコースが用意されていますが、人気の高い「労働時間短縮・年休促進支援コース」について解説します。
1.概要
2020年4月から、中小企業にも「時間外労働の上限規制」が適用される中、長時間労働の是正など労働環境の改善がより一層求められています。
「働き方改革推進支援助成金」の労働時間短縮・年休促進支援コースは、生産性を向上させ、労働時間の削減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業を支援する助成金となっています。
2.対象となる事業主
次のア~ウすべてに該当する事業主が対象となります。
ア |
労災保険の適用を受ける中小企業事業主である |
イ |
年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している |
ウ |
交付申請時点で、「成果目標」(次回ご紹介します)①~③の設定に向けた条件を満たしている |
3.助成対象となる取組
下記①~⑦のいずれか1つ以上を実施する必要があります。
①労務管理担当者に対する研修
②労働者に対する研修、周知・啓発
③外部専門家によるコンサルティング
④就業規則・労使協定等の作成・変更
⑤人材確保に向けた取組
⑥労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
⑦労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新
※①・②の研修には、勤務間インターバル制度に関するものや業務研修も含まれます。
※⑥・⑦では原則として、パソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
次回は、成果目標と支給額についてご説明します。
こちらの助成金の活用を検討されたいとお考えの方は、当事務所までお気軽にお問合せください。
(2023年05月)
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前回に引き続き、キャリアアップ助成金の「賃金規定等改定コース」をご紹介いたします。
こちらのコースでは、賃金規定等の改定に際して「職務評価」を活用すると、助成額の加算(職務評価加算)を受けることができます。
職務評価の手法の活用により、賃金規定等を増額改定した場合の加算額は、1事業所当たり20万円(中小企業の場合。1事業所当たり1回のみ)です。
1.職務評価とは
職務の大きさ(業務内容・責任の程度)を相対的に比較し、その職務に従事する労働者(正規雇用労働者及び有期雇用労働者等)の待遇が職務の大きさに応じたものとなっているかの現状を把握する手法です。
職務評価加算の対象となる手法は、「要素別点数法」「単純比較法」「分類法」「要素比較法」の4つがあります。厚生労働省では、「要素別点数法」を推奨しています。
なお職務評価は、個々の労働者の仕事への取り組み方や能力を評価するもの(人事評価・能力評価)とは異なります。
2.職務評価加算の対象となるための要件
①賃金規定等改定コースの支給要件をすべて満たしていること
②職務評価を実施していること
※正規雇用労働者に対しても職務評価を実施している必要があり、正規雇用労働者を雇用していない場合は加算対象外となります。
③職務評価結果を踏まえて賃金規定等を改定していること
3.職務評価加算申請に必要な書類
①職務評価を実施したことがわかる書類
※採用した職務評価手法ごとに異なります
②職務評価結果を踏まえ賃金規定等を改定したことがわかる書類
こちらの助成金の活用を検討されたいとお考えの方は、当事務所までお気軽にお問合せください。
(2023年04月)
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2023年4月から、雇用関係助成金の改正が多数予定されています。
今回はその中でも、現時点で公表されているものとして、キャリアアップ助成金の「賃金規定等改定コース」についてご紹介します。
1.概要
有期雇用労働者等(※1)の基本給を定める賃金規定等(※2)を3%以上増額改定し、その規定を適用した事業主に対して、助成を行う制度です。
※1 有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者を含む、いわゆる「非正規雇用労働者」を指します。
※2 賃金規定のほか、「賃金テーブル」や「賃金一覧表」も増額改定の対象とみなします。
2.支給額(中小企業の場合)
賃金引上率 |
1人当たりの助成額 |
3%以上5%未満 |
5万円 |
5%以上 |
6.5万円 |
3.受給条件
次の①~③すべてに当てはまる必要があります。
①キャリアアップ計画の作成・提出
賃金規定等を増額改定する前日までに「キャリアアップ計画」を作成し、最寄りの労働局へ提出していること
②賃金規定等の適用
有期雇用労働者等の基本給を賃金規定等に定めていること
③賃金アップ
上記②の賃金規定等を3%以上増額改定し、改定後の規定に基づき6か月分の賃金を支給していること
こちらの助成金の活用を検討されたいとお考えの方は、当事務所までお気軽にお問合せください。
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前回に引き続き、労働関係助成金の生産性要件について解説いたします。
一定以上の向上を達成した場合に、助成の割増等が行われる「生産性」は、次の計算式によって算出されます。
なお、本記事では企業会計基準を用いている一般企業の場合を前提としています。
生産性=付加価値÷雇用保険被保険者数
付加価値=営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課
<注意点>
・「付加価値」は、直近の会計年度もその3年度前もプラスであることが必要です。
・「生産性要件」の算定対象となった期間中に、事業主都合による離職者(解雇等)を発生させていないことが必要です。
ここで、生産性の算定要素である「人件費」の対象について整理します。
・従業員の「給料手当、賞与、通勤費、法定福利費、福利厚生費、雑給、研修費、退職金」などが対象となり、役員の分(役員報酬等)は含まれません。
・出張旅費などの「旅費交通費」(通勤費を「旅費交通費」の中に含めている場合も含む)は対象となりません。
・派遣労働者の派遣手数料(「外注加工費」などの勘定科目)は対象となりません。
生産性要件を計算するための「生産性要件算定シート」が、厚生労働省のホームページに掲載されています。
ダウンロードして、該当する勘定科目の金額を、損益計算書や総勘定元帳などから転記することにより、要件を満たしているか判定することができます。
厚生労働省 生産性要件算定シート
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137393.html
なお、助成金の申請に際しては、各勘定科目の金額の証拠書類(損益計算書や総勘定元帳など)を提出する必要があります。
助成金の生産性要件の活用を検討されたいとお考えの方は、当事務所までお気軽にお問合せください。
(2023年03月)
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日本では、将来的に労働力人口の減少が見込まれる中、労働生産性の向上が求められています。
企業における生産性向上の取組を支援するために、一部の労働関係助成金では、労働生産性が一定以上伸びた場合に、助成額や助成率の割増等が設定されています。
今回は、労働関係助成金の「生産性要件」について解説します。
助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が、下記のいずれかに該当する場合に、助成の割増等が行われます。
①その3年度前と比較して6%以上伸びている
②その3年度前と比較して1%以上6%未満伸びている
<各種留意点>
・3年度前の初日に雇用保険の適用事業主であることが必要です。
・会計期間の変更などにより、会計年度が1年未満の期間がある場合には、その期間を除いて3年度前に遡って算定を行います。
・②の場合には、金融機関から一定の「事業性評価」を得ている必要があります
生産性要件が設定されている主な助成金は、以下の通りです。
・人材確保等支援助成金:雇用管理制度助成コースなど
・両立支援等助成金:出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育児休業等支援コースなど
・キャリアアップ助成金:正社員化コース、賞与・退職金制度導入コースなど
・人材開発支援助成金:特定訓練コース、一般訓練コースなど
・業務改善助成金
例えば、キャリアアップ助成金の正社員化コースで、有期雇用労働者を正社員に転換した場合、通常は57万円の支給となるところ、生産性要件を満たすことで助成額が72万円に増額されます。
次回は、生産性の具体的な計算方法についてご説明いたします。
助成金の生産性要件の活用を検討されたいとお考えの方は、当事務所までお気軽にお問合せください。
(2023年02月)
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