野中敏博税理士事務所 ブログ

東京で税理士をしている野中敏博と言います。元々はシステムエンジニアだった知識・経験と、開業後に始めたマーケティングを活用して、毎日経営者の方々と一緒になってこの不況を乗り切ろうと頑張っています。

すぐに所得税還付の手続きが必要な方もいます(遺族の方が年金として受給する生命保険金)

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平成22年07月06日に最高裁判所で、、遺族の方が年金として受給する生命保険金について、相続税の課税対象とされた部分については所得税は課税されないとの判決が出され、国税庁側が敗訴しました。

この判決に基づく、国税庁の対応が発表されました。

相続又は贈与等に係る生命保険契約等に基づく年金の税務上の取扱いの変更等の方向性について
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h22/sozoku_zoyo/index.htm


この発表のポイントについて、以下のようにまとめました。


1.対象となる期間:平成17年分から平成21年分の所得税の還付

現行の法律では過去5年間しか、還付の手続きができません。

平成12年分以降平成16年分以前については後述していますので、ご覧下さい。


2.対象になる者と保険年金

1)対象となる者:相続、贈与等により取得した生命保険契約や損害保険契約等に係る年金を受給している方が今回の取扱いの対象となります。

「相続、贈与等により取得」というのが、ポイントになります。

2)対象になる保険年金:生命保険会社、旧簡易保険、損害保険会社、JA 共済、全労済等での以下のような年金
・ 年金形式で受給している死亡保険金
・ 学資保険の保険契約者がお亡くなりになったことに伴い受給する養育年金
・ 個人年金保険契約に基づく年金

範囲は、広いです。


3.生命保険会社等からの通知

今回の取扱い変更の対象となる「保険年金」を受給されている方のうち、その年金について所得税が源泉徴収されている方には、生命保険会社等の「保険年金」取扱い各社から、還付手続きに必要となる年金情報等が個別に通知されることとなっています(今月下旬の取扱い変更後、順次各社から発送される予定です。)。


4.還付の手続きの期限:すぐに所得税還付の手続き(更正の請求)が必要な方もいます

対象となる年分の確定申告書を提出しているかどうかで、扱いが異なります。

1)対象となる年分の確定申告書を既に提出している場合

更正の請求は、該当するすべての年分について、取扱いの変更を知った日の翌日から2月以内に行っていただく必要があります。
(注)「取扱いの変更を知った日」とは、今月下旬の通達発遣後、納税者の方が、取扱いの変更を実際に知った日となります。
なお、納税者の方からの更正の請求に基づいて税務署で減額更正できる期間は、原則として申告書が提出された日から5年間となります。したがって、以下の様に期限が迫っていますので、早く手続きを行うことになります。

・平成17年分の申告を平成18年01月01日に行った者:平成22年12月末が期限

・平成17年分の申告を平成18年03月15日に行った者:平成23年03月15日が期限


2)対象となる年分の確定申告書を提出していない場合

確定申告(還付申告)は、申告する年分の翌年1月1日から5年を経過する日までに行っていただく必要がありますので、平成17年分の還付申告については、原則として平成22年12月末日がその期限となります。


5.平成12年分以降平成16年分以前の「保険年金」に係る所得税の還付について

現状の法律では、平成16年分以前の還付ができません。
このため救済措置を講ずる方向になっていますので、税制調査会の議論を経て国会での法律の成立を待つことになります。



6.申告書が見つからない場合他

申告書を大事に保管していても、探してみると見つからない場合も多いかと思います。

この発表では、以下のように記入されています。

「証拠書類の保持・不保持といった事情により、かえって納税者の間での不公平が増すようなことも、税制及び税務に対する信頼を確保するうえでは、避けなければなりません。
このため、税務署における確定申告書等の保存期間や民法の債権の消滅時効の期間等を踏まえ、平成12 年分以降平成16 年分以前の「保険年金」に係る所得税について、特別な還付措置を講ずる方向で検討してまいります。

(注)税務署においては、平成15 年分以降の所得税確定申告書等が保存されています。

こうした、特別な措置には、法律の手当てが必要です。法律案が国会で成立すれば、その後、一定期間、この特別な還付措置の手続きがとれるようにする方向で検討してまいります(併せて、5年以内の課税分についても、同じ期間、同様の手続きがとれるように手当ていたします。)。」

ですので、「法律案が国会で成立すれば」という条件付きで詳細は不明ですが、特別措置が講じられそうです。

まずは税務署に電話相談されるのが良いかと思います。


(2010年10月)

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