ブログ用 目次1. はじめにユーロ危機も一段落したと思えば再発しかねない様相で、中国の成長率も鈍っています。
日本も、減速している経済状況で消費税増税が決まり、景気に悪影響を及ぼしそうです。
このように厳しい状況の中で、中小企業の融資を支えていた中小企業金融円滑化法が来年3月末で終了します。
今回は、この円滑化法終了の影響と、対策について考えて見たいと思います。
2. 中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)の終了中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)が、平成25年3月31日で終了となります。
この法律は、リーマンショック後の中小企業等の資金繰り悪化への対策として、金融機関に貸付条件の変更の努力を促した法律です。
この法律の効果は大変大きく、事業者の貸付条件変更の申し出に対し、金融機関の実行率は90%以上でした。
しかし、この法律の問題点として、借り手の返済に困ったら条件を変更してもらえばいいと言うモラルハザードや、中小企業等の体質強化を遅らせた等の点が指摘されていました。
この為、平成25年3月末までの二度目の延長をした際に、「今回限り1年間再延長」と更なる延長は無い事を定められました。
3. 融資に影響を与える金融庁の今後の方針金融庁は、円滑化法を再度延長をした際に、以下の施策を集中的に行う事にしました。
1) 金融の円滑化金融機関は、円滑化法により債務返済を猶予した中小企業等を、今後の事業活動に必要な資金を供給できるようにする、すなわち債務者区分を向上させるための戦略「出口戦略」を積極的に提案し、実行する事が求められる事になりました。
*「債務者区分」とは、金融機関が融資先の財政状態等に応じて区分する事を言います。
2) 金融規律の確保:金融機関に対する方針ですので、ここでは割愛します。
3) 中小企業等に対する支援措置金融機関のコンサルティング能力の更なる強化と、外部機関や関係者との連携を明確化する「中小企業経営力強化支援法」が制定され、「中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえた中小企業の経営支援のための政策パッケージ」が公表されました。
4. 円滑化法終了までに、金融機関は何を行うのか金融庁の方針を踏まえ、金融機関は融資猶予先の出口戦略に取り組まないといけなくなりした。
この「出口戦略」とは、融資猶予先のコンサルティングを行いながら債務者区分を分類し、分類に応じた具体的な対策を示す事です。
この具体的な対策の中には、低い格付けの融資先に対し最終的には「自主廃業」を含めたソリューションの提案が含まれます。
5. 円滑化終了までに、中小企業等は何をすべきか上記の様に、金融機関は平成25年03月を目途に、融資猶予先に「出口戦略」を求めます。
この「出口戦略」は、融資猶予先の債務者区分により異なります。
1) 事業の持続可能性が見込まれない債務者融資を猶予された中小企業等で下記の1)や2)に該当しない場合で、事業継続の最低要件は、以下の3点です。
・事業者にやる気があるのか
・営業キャッシュフローをプラスにできるか
・地域経済に与える影響が大きいか
上記の3点を有している事を金融機関にアピールする事が大事で、金融機関が事業継続できないと判断した場合は、「廃業先」に分類されます。
*「廃業先」と分類された場合、売却できる事業等がある場合はM&Aや組織再編を検討し、そうでなければ会社の解散等を考慮する事になります。
2) 事業再生や業種転換が必要な債務者(事業再生支援策)債務償還年数が15年を超え50年以内(金融機関によって異なります)で、地域経済に与える影響が大きいと判断されると、この分類になります。
事業再生支援先と判断された場合、金融庁の方針を考慮して、積極的に外部専門家の知識等を活用し、地域の中小企業ネットワークに参加するのがいいでしょう。
3) 経営改善が必要な債務者債務償還年数が15年以内(金融機関によって異なります)で、経営者にやる気があり、営業キャッシュフローがプラスにできると判断できると、この分類となります。
この場合、経営改善計画等の金融機関への提出が必要になり、金融機関の同意を得てから、計画を実施する事になります。
6. 終わりに円滑化法が終了しても、すぐに金融機関が既に猶予を受けている元金返済を迫る可能性は少ないでしょう。
しかし、既に一部の金融機関は「出口戦略」の検討のみならず、既に債務者区分の低い融資先に対する態度を変えつつあります。
これに対抗する為には、企業の体質を強化し、利益を増やして営業キャッシュフローをプラスにするしかありません。
中小企業が、この不景気の中に営業キャッシュフローをプラスにするのは困難が伴います。
しかし、やり遂げなければなりません。
当事務所も、中小企業の皆さんの力となり、この困難な時代を勝ち抜くための支援をこれからも行っていきます。
(2012年11月)
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