野中敏博税理士事務所 ブログ

東京で税理士をしている野中敏博と言います。元々はシステムエンジニアだった知識・経験と、開業後に始めたマーケティングを活用して、毎日経営者の方々と一緒になってこの不況を乗り切ろうと頑張っています。

借入金の経営者保証を見直すガイドラインが発表されました(その1)

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中小企業への融資の多くは、経営者による個人保証がなされています。この事には資金調達の円滑化等のメリットもありますが、保証の履行により経営者の生活に多大な悪影響を及ぼし、事業再生を阻害する事になってしまいます。

このため、中小企業庁と金融庁が共同で中小企業金融の円滑化を目指す「経営者保証に関するガイドライン」を作成し、発表しました。

今回は、このガイドラインのうち、既存の保証契約の見直しや保証債務の整理等を除いた部分の概略をお知らせします。


1.目的

このガイドラインは、債務者(中小企業)・保証人(中小企業の経営者)・債権者(金融機関)間における合理性のある保証契約をのあり方を示すと共に、現状の経営者保証の弊害を解消し、中小企業の活力を増進するを図り、日本経済の活性化を目指しています。


2.経営者保証の原則的な方針(準則)

このガイドラインの主な原則的な方針は、以下の通りです。

1)経営者保証の合理的なあり方等を示すと共に、債務の整理局面において保証債務の整理を公正かつ迅速に行う事を方針としています。また、法的な拘束力はありませんが、自発的に尊重され遵守される事が期待されています。

2)経営者保証に依存しない融資の一層の促進と共に、経営者保証をする際も、このガイドラインに基づく保証契約の締結や整理への対応について誠実に協力する事が求められます。他


3.適用の対象となり得る保証契約

以下の全ての要件を満たす保証契約に関して、適用されます。

1)保証契約の主たる債務者が、中小企業である事

2)保証人が個人であり、主たる債務者である中小企業の経営者である事

  但し、以下に定める特別な事情がある場合等も、適用対象になります。

  ・実質的な経営者や配偶者(当該経営者と共に当該事業に従事している事)等が保証人になる場合

  ・経営者の健康上の理由の為、事業承継予定人が保証人になる場合

3)主たる債務者及び保証人の双方が弁済について誠実で、対象債権者の請求に応じ、それぞれの財政状況等(負債の状況を含む)について適時適切に開始している事

4)主たる債務者及び保証人が反社会的勢力ではなく、そのおそれもない事


4.経営者保証に依存しない融資の一層の促進

この目的の為に、債務者・保証人・債権者は、それぞれ以下の対応に努める事になります。

1)債務者(法人)と保証人(経営者)の場合

債務者が経営者保証なしで資金調達する為には、以下の経営状況である事が求められます。

①法人と経営者との関係の明瞭な区分・分離

法人の業務・経理・資産状況等に関して経営者と関係を明確に分離し、法人と経営者との資金のやり取り(役員報酬・貸付け等)を社会通念上適切な範囲を超えないものにする体制を整備し、適切な運用を図り、法人個人の一体性の解消に努めます。また、こうした整備・運用には税理士等の検証を実施し、結果を適切に開示する事が望ましいです。

②財務基盤の強化

経営者保証を提供しなくても事業に必要な資金を円滑に調達できるよう、債務者は財務状況等の改善を通じた返済能力の向上等により信用力を強化します。

③財務状況の正確な把握と適切な開示による経営の透明性を確保

債務者は資産負債の状況や事業計画等に関する開示の要請に対し、正確かつ丁寧に情報を開示し、経営の透明性を確保します。そして、開示後に変動があれば、自発的に開示します。


2)債権者(金融機関)の対応

債権者は、金利の上乗せ等の融資方法の多様化を図ります。

また、法人個人の一体性の解消が図られている、あるいは、図ろうとしている債務者から資金調達の要請を受けた場合、主たる債務者が以下の様な要件を将来に渡って満たすと見込まれるときは、経営状況等を総合的に判断し、経営者保証を求めない可能性を検討します。

イ) 法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されている。
ロ) 法人と経営者の間の資金のやりとりが、社会通念上適切な範囲を超えない。
ハ) 法人のみの資産・収益力で借入返済が可能と判断し得る。
ニ) 法人から適時適切に財務情報等が提供されている。
ホ) 経営者等から十分な物的担保の提供がある。


5.経営者保証を求める場合の債権者(金融機関)の保証人(経営者)への対応

1)債権者(金融機関)は、経営者保証の必要性に関する丁寧かつ具体的な説明を保証人(経営者)に行います。

債権者(金融機関)は、保証契約を締結する際に、以下の点について、債務者と保証人に丁寧かつ具体的に説明します。

イ)保証契約の必要性
ロ)原則として、保証履行時の履行請求は保証金額全額に対し行うのではなく、保証人の資産状況に照らして履行の範囲が定められる事
ハ)経営者保証の必要性が解消されれば、保証契約の変更/解除等の見直しの可能性がある事


2)適切な保証金額の設定

債権者(金融機関)は、保証契約をする際に、保証に関する負担が中小企業のライフステージにおける取組を阻害しない様、形式的に保証金額を融資金額を同じとせず、保証人の状況や債務者の信用状況等を総合的に判断して決定します。

このような観点から、債務者の移行も踏まえ、保証債務の整理については以下のような対応を誠実に行う事を保証契約に規定します。

・保証債務の履行請求額は、手形の不渡りが発生した日等の所定の基準日における保証人の資産の範囲内とし、基準日以降に発生する保証人の収入を含まない事とします。

・保証人が保証履行時の資産状況を表明保証し、その適正性について税理士等の確認を受けた場合、その状況に相違があった時に融資慣行に基づく保証債務額が復活する事を条件にして、債務者と債権者の合意に基づき、保証履行請求額を履行請求時の保証人の資産の範囲とします。


(続きます)

(2014年02月)


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