ブログ用目次NPO法人と法人税の収益事業の関係について、このブログで連載していますが、今回は前回に引き続きどのような事業が法人税を課税されるか、をテーマとします。
08.NPO本体で行っていない場合でも、課税される場合があります。NPO法人が次の様な委託契約をした場合は、課税されます。
・収益事業の全部または一部を、委託契約に基づいて他者に行わせた場合
・収益事業を行う組合契約等を行い、当該事業の費用及び損失を負担し、収益の分配を受け、結果として自ら事業を行っていると認められる場合
・信託の受益者になる場合において、その信託事業が収益事業に該当する場合。
例えば、NPO法人が所有する建物内で第三者に飲食店や売店を行わせ、その収益の分配を受ける場合は、「物品販売業」や「飲食店業」に該当すると考えられます。
09.共済事業も、対象になる場合があります。NPO法人が、NPO本来の事業でなく、その他の事業として会員相互扶助を実施している場合でも課税される場合があります。
例えば、会員相互の資金の融通を行う目的の貸付共済は、所定の要件を満たす低利貸付を除き「金銭貸付業」に該当します。
また、保険業自体は34業種ではありませんが、会員が団体生命保険などに加入する際に、その事務代行を行う保険共済は「請負業」に該当します。
10.事務所等が無くても課税される場合が、あります。法人税法の収益事業の判断基準に、「継続して事業場を設けて行われるもの」と言うのがあります。
これは事業活動の拠点があるという事ですが、固定的な事務所等がある場合だけでなく、必要に応じて随時その業務活動のための場所を設け、又は既存施設を利用して事業活動を行う場合も、事業場を設けている事に該当します。
ですので、事業を行っているほとんどの場合が、該当する事になります。
また、この「事業場を設けて」には、転々と場所を移動して営業を行う移動販売も含まれます。
信託契約等の場合は、受託者の事業場が委託者であるNPO法人の事業場として取り扱われたりします。
11.継続して事業をしていない場合でも、収益事業に該当する場合があります。1)「継続して~行われているもの」とは法人税法の収益事業の判断基準に、「継続して~行われているもの」と言うのがあります。
この「継続して」の考えですが、事業年度の全期間を通じて事業活動を行っているだけではなく、短期間や不定期であっても、事業の性質上全体として継続性がある場合は、継続性があるという事になります。
例えば、以下のような事例は「継続して」に含まれます。
・例えば、土地の造成や分譲、全集又は事典の出版等のように、通常一の事業計画に基づく事業の遂行に相当期間を要するもの。
これは、販売活動が短くても、その準備期間が長ければ、準備期間も含めて継続性を判断するという事です。
・例えば、海水浴場における席貸し等又は縁日における物品販売のように、通常相当期間にわたって継続して行われるもの又は定期的に、もしくは不定期に反復して行われるもの。
これは、販売活動等が毎年一定期間しか行われなくても、毎年一定の期間に反復又は継続して行われている場合は、全体として継続して事業を行っていると考えるという事です。
但し、例外があります。
学校法人等が行うバザーで年1~2回開催されている程度のものは、収益事業に該当しません。
この場合、回数は1日を1回とカウントし、準備期間はカウントしません。
これにも更に例外規定がありまして、収益事業である技芸教授等の付随行為であるバザーは課税対象になります。
2)一つの事業で収益事業に該当する場合としない場合がある場合例えば、席貸業で貸ホールを娯楽等の為に貸し出した場合は収益事業ですが、国・地方公共団体等への貸し出しは収益事業ではありません。
このような場合は、事業全体に継続性があれば、収益事業部分が断続的で少なくても、収益事業も継続していると考えられます。
この続きも書きたいのですが、長くなるので、NPO法人シリーズの次回にこの続きを書きます。
(2013年05月)
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