野中敏博税理士事務所 ブログ

東京で税理士をしている野中敏博と言います。元々はシステムエンジニアだった知識・経験と、開業後に始めたマーケティングを活用して、毎日経営者の方々と一緒になってこの不況を乗り切ろうと頑張っています。

配当控除の申告をしたら、医療費の窓口負担が3倍になる場合もあるので注意!

ブログ用目次

1.初めに

確定申告の時期ですね。

医療費控除等の確定申告で、支払った税金の還付もされる方も多いと思います。

今回は、有利になるよう確定申告をした結果、逆に不利益を被る場合もあるので、このお話をしたいと思います。

上場株式等の配当所得について、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除や配当控除を受けようと思う方は、特にご注意ください。


2.上場株式等の配当所得に係る課税制度

確定申告をする場合、申告する上場株式等の配当等の全てについて、申告分離課税か総合課税かを選択する必要があります。


1)確定申告不要制度

上場株式等の配当について源泉徴収後、1回に支払を受ける配当毎に選択できます。

現時点では、所得税7%と地方税3%です。

(平成26年01月01日より、所得税15%と地方税5%です。)


2)申告分離課税制度

配当等に係る借入金利子の控除や、上場株式等の譲渡損失の損益通算(繰越控除を含む)をしたい場合、この制度を使用します。

税率は、申告不要と同一です。


3)総合課税

配当等に係る借入金利子の控除や、配当について源泉徴収された所得税について配当控除を受ける場合、この制度を使用します。

税率は、累進税率になります。


3.申告した事により不利にある可能性のある制度

1)国民健康や後期高齢者医療制度の適用を受けている場合の保険料が上昇する可能性あり

給与所得者の場合あまり問題になりませんが、上記の保険料は総所得金額等で決定されます。

この為、思わぬ出費となる可能性があります。


2)配偶者等の扶養から外れ、国民健康保険や国民年金に加入を求められる可能性あり

年金や健康保険の場合に判断する恒常的な収入金額は、130万円です。

株式の譲渡所得や配当をどう考えるか、社会保険事務所や年金組合によって判断が違う事もあるかと思いますが、段々厳しく判断しているように見受けられます。

もし、国民年金に加入すれば年額18万円位、国民健康保険で年額約20万円以上の負担となります。


3)医療費の窓口(自己)負担割合や自己負担上限額が上がる可能性あり

窓口(自己)負担割合は、5歳以上70歳未満では3割負担です。

そして、70歳以上では基本は1割負担(改正の予定あり)で、住民税の課税所得が145万円以上ですと3割負担になります。(市区町村によっては、異なる場合もあります。)

但し、例外措置もあるので、市区町村の窓口でご相談される事をお勧めします。


4)配偶者控除・扶養控除の対象外になる可能性あり

配偶者控除・扶養控除は、合計所得金額が38万円以下の場合に適用されます。

ここで注意しなければならないのは、上場株式等の損失の繰越控除の適用を受ける場合でも、合計所得金額は繰越控除前の所得になる事です。

適用を受けられなくなる事で、本人の配偶者や扶養者の所得税・住民税が増えます。


5)住宅ローン減税等の適用対象外になる可能性あり

住宅ローン減税は、本人の合計所得額が3000万円以下の年についてのみ適用されます。

ですので、ご注意下さい。


6)地方税が増税になる可能性あり

現在の地方税税率は10%ですが、申告不要や申告分離の地方税率は3%です。

ですので、所得税だけ考えて得だと思い総合課税で申告した場合、地方税の増税分が思ったより多かった場合も考えられます。


4.最後に

申告する事により、税金が還付されたり、他の損失と相殺できるのですから、積極的に検討した方がよいかと思います。

しかし、所得税申告は、地方税や社会保険等にも密接に結びついています。

申告をしてメリットがあるかどうか、ぜひ再確認して下さい。

(2013年03月)


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