野中敏博税理士事務所 ブログ

東京で税理士をしている野中敏博と言います。元々はシステムエンジニアだった知識・経験と、開業後に始めたマーケティングを活用して、毎日経営者の方々と一緒になってこの不況を乗り切ろうと頑張っています。

NPO法人と法人税(02 法人税の収益事業の範囲 その1)

ブログ用 目次

NPO法人と法人税の収益事業の関係について、このブログで連載していますが、今回はNPO法人のどのような事業が法人税を課税されるのか、をテーマとします。


01.NPO法人と法人税課税・非課税の関係

最初に、NPO法人と法人税(01 NPO法との関係)で、使用した下記の表で、NPO法人と法人税課税の関係を再確認します。

2012-09-02 NPO法と法人税法の関係


この表で確認して頂きたい点は、まずNPO本来の事業であっても、法人税が課税される場合がある事です。

当然ながら、法人税が課税されたからと言って、公益性が否定された訳ではありません。


02.どういう場合に、NPO法人に法人税が課税されるのか

どういう場合に法人税が課税されるのかの考え方は、以下の通りです。

①NPO法人が行う事業は、法人税法上原則非課税です。

②但し、NPO法人が行う事業のうち、法人税法で指定された種類の事業を行った場合は、課税されます。

③上記課税される事業を行った場合でも、その事業の規模等によっては、課税対象から外れる場合もあります。

④上記規模等の判定で収益事業とされても、例外規定に該当すれば、課税対象から外れる場合もあります。


このように、NPO法人の法人税課税は判りにくいのが特徴です。


03.NPO法人が行う事業のうち、法人税が課税される事業の種類

以下の34事業に、法人税が課税されます。

01)物品販売業

02)不動産販売業

03)金銭貸付業

04)物品貸付業

05)不動産貸付業

06)製造業

07)通信業

08)運送業

09)倉庫業

10)請負業

11)印刷業

12)出版業

13)写真業

14)席貸業

15)旅館業

16)料理店業その他の飲食店業

17)周旋業

18)代理業

19)仲立業

20)問屋業

21)鉱業

22)土石採取業

23)浴場業

24)理容業

25)美容業

26)興行業

27)遊技所業

28)遊覧所業

29)医療保険業

30)技芸教授業

31)駐車場業

32)信用保証業

33)無体財産権の提供

34)労働者派遣業


04.なぜ、上記事業が課税事業とされたのか

会社が行うような事業は、全て法人税課税されます。

ですので、NPO法人が会社が行うような事業を行う場合は課税するというのが、基本的な考え方です。

その考えで行くと、すべての事業が当てはまるようですが、課税される事業種類は限定されています。

元々この規定は公益法人に適用されているもので、その規定を後でできたNPO法人にあてはめています。

「以前の公益法人は、所轄官庁の管理が厳しく、法人税が課税される様な事業は、上記の種類位しかできなかった。それで問題なかったので、そのまま継続しているのでは。」と言う方もいます。

ただ、時代の流れに応じて、労働者派遣業が追加されています。

(この規定に追加される前だと、NPO法人が労働者派遣業をしても課税されなかったのです。)

今後も、時代の流れに沿って、変更があるかもしれません。


05.34事業の限定列挙である事について

限定列挙ですので、該当しなければ法人税は課税されません。

但し、現実は34事業に該当するかどうか判定が難しい場合が、多いです。



06.NPO法人が行う介護支援事業(医療保険業)は、課税されます。

介護支援事業をされるNPO法人も多いかと思いますが、社会福祉法人等と違い、課税されます。

NPO法人も社会福祉法人等と同じで非課税と勘違いして申告せず、税務調査で課税されたNPO法人のニュースがマスコミに載ったこともありました。

社会福祉法人等と扱いが違う事について、不公平と考えられる方も多いかもしれません。

こちらも、今後の動向を注意深く見なければなりません。


07.二種類の事業に該当するかもしれないと考えた場合

例えば、NPO法人がスポーツを教えるための講師派遣を行った場合で考えます。

①該当する事業である技芸教授の内容で、判断する。

この場合、行う事業の種類は技芸教授ですので、技芸教授の規定を調べると課税される内容ではないので非課税となります。

(技芸教授の判定内容は、後日説明します。)

②該当する事業で判断したなら、他の事業で判断する必要はありません。

では、講師派遣は他社から頼まれたのだから、請負事業として判断するのではないか、と考える人もいるかもしれません。

しかし、その必要はありません。

なぜなら、該当する事業で判断すれば、そこで判断は終了し、他の事業で判断する必要はないからです。

(該当する事業で非課税なら次に請負で判断する、となると34業種に区分した意味もありません。)



この続きも書きたいのですが、長くなるので、NPO法人シリーズの次回にこの続きを書きます。

(2013年01月)


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