野中敏博税理士事務所 ブログ

東京で税理士をしている野中敏博と言います。元々はシステムエンジニアだった知識・経験と、開業後に始めたマーケティングを活用して、毎日経営者の方々と一緒になってこの不況を乗り切ろうと頑張っています。

あったらいい保険より絶対必要な保険を(労働災害総合保険)

ブログ用 目次

企業に関するリスクマネージメントの重要性は、このブログを読まれている方もご存知かと思います。

このリスクマネージメント対策の一つとして、保険がありますが、この保険も種類が多く、多様な使い方をされています。

当然ながら、同じ保険料を払うなら、より効果のある使い方をしたいものです。

例えば、タイトルにあるように、加入したらいいという保険より、絶対必要な保険に加入する方が、保険料の有効な活用になります。

今回、この点からリスクマネージメントを考えます。


1.有ったらいい保険とは

例えば、会社が医療保険を契約して、社員に何かあった場合に入院給付金等を支払うという制度を採用されている会社もあるかと思います。

このこと自体は素晴らしい事で、福利厚生の充実という意味では素晴らしいですが、絶対必要というよりも、あったらいい保険という考えもできます。


2.労働災害事故が起きた場合の従業員への補償と会社の責任

例えば、従業員が仕事中に死亡した場合や高度障害を負った場合、労働災害事故となります。

この労働災害事故に対する保障としては、以下の3制度があります。

1)労働災害保険

従業員を雇用する際に義務付けられている労働災害保険が、労災事故に対し法定補償分をカバーします。

しかし、この給付が従業員や遺族の今後の生活費を考えると不十分な場合が多いです。


2)法定外補償

労働災害保険で不十分な補償を補う制度で、上場企業等が独自に制度を設けていたりしています。

例えば、死亡時の保険金や休業補償等がありますが、中小企業が独自に行うのは資金的に難しい場合が多いです。

3)企業の使用者賠償責任

例えば、従業員が過労により事故を起こし死亡した場合や自殺をした場合、企業は監督責任を問われる場合があります。この場合、多額の賠償が発生する場合があります。

過去に、労災事故による高障害に対し、企業が約1億6500万円の賠償が判決・和解等により決まった場合があります。
このような高額な賠償を支払わなければならない場合、多くの中小企業は存亡の危機に陥ります。


3.絶対必要な保険(労働災害総合保険)

上記の法定外補償や使用者賠償責任に備える保険が、労働災害保険です。

この労働災害保険には、以下の特徴があります。

*あいおい損保の労働災害保険を例に書きますが、他の保険会社もさほど制度の違いはないと聞いています。
しかし、念のためにご確認ください。
また、保険料等は概算であり、特約や業種等により変わりますのでご注意ください。



1)保険料が安い

例えば、従業員30人で賃金総額12000万円で、法定外補償で基本保障と通勤災害の保険金額を1000万円とし、使用者賠償の保険金限度額を1億円とした場合、年間保険料は概算で9万円を少し超える位です。

一人あたりの保険料が3000円ほどで、1億円の保険金に加入できる事になります。


2)条件を満たす経営者も、保険の対象となる

法定外補償については、政府労災保険に特別加入している中小事業主や一人親方も、特約で加入できます。

ただし、加入できるのは法定外補償だけで、当然ながら使用者賠償保険には加入出来ません。


3)保険料の割引制度が多い

法定外補償と使用者賠償をセットとして契約すると、使用者賠償責任保険が10%割引となります。

他に、無事故割引や事業規模割引等あります。


4)各種特約の追加が可能

例えば、法定外補償について、障害を被った日から3年以内に退職した場合の加算金特約を付ける事が出来ます。

また、使用者賠償責任補償でも、受け入れている派遣労働者を補償対象にする特約もあります。

その他、政府労災に加入していれば、海外に派遣された社員も対象に出来る特約もあります。

なお、ご存知の通り、特約を付け多分だけ保険料は加算されます。


5)使用者賠償では最大1億円まで保証が可能

先に述べたように、使用者の賠償責任が1億円を超える場合もあります。

この保険も、1億円の補償も可能になっています。


4.注意点

このように割安の保険料で暑い補償ですが、それだけに制限もあります。

ご注意ください。

1)法定外補償の保険金支払いは、政府労災保険等による給付決定が条件になります。

(政府労災が給付されない場合は、この保険を使用したくても使用できません。)


2)使用者賠償責任補償は、法律上の賠償義務が発生した場合で、政府労災や上乗せ補償保険では足りない場合に、保険金が支払われます。

(法律上の賠償義務がなければ、この保険は使用できません。)


(2011年11月)


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